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短編 フェアリーテイル

第13章 ラクサス 「お前だけ」


「おはよう…。ラクサス?」


もう昼くらいかな。
眩しくて目を覚ますと横には誰もいない。
それとなく見ていいと言われた部屋は見て呼びかけてみるけれど返事もない。

……また居なくなった?いや、そんなはずない。
だって帰ってきてくれたんだから。

でも、もし居なくなってるとしたら。
有り得ないと思いながらも心臓が激しく鼓動して息が苦しくなってくる。
彼が遠くに行く前に見つけなきゃ…!


彼の部屋にあったブランケットを巻いてマグノリア中を駆け巡る。


「お婆さん…!ラクサス見なかった!?」


「見てないねえ。ごめんね。カナタ」


「ううん…!!じゃあね!」


そう言って色んな人に声をかけてたどり着いたのが


「サンドイッチ屋…、か……」


選んでいるラクサスの後ろ姿が見える。
多分朝ごはん兼昼ごはんを買いに行ってくれてたんだろう。

ラクサスに見つからないように戻ることにした。



玄関の扉が開く音。
そして部屋リビングで買ってきたものを出す音が聞こえた。


「おかえり!ご飯買いに行ってくれてたの?」


寝室のドアを開けてラクサスの横に走ると彼はこっちを見る。


「起きてたんだな。お前これ食えるか?」


たくさんの種類のサンドイッチを私に見せてくる。


「食べれるよ!美味しそう!」


「よし。じゃあ沢山食え」


その後私が食べているのを見て嬉しそうに笑っていたラクサスだった。



あれからほんとに私の家は解約してラクサスの家に住む事になった。

もうすぐ私の誕生日で気にしてないフリしながらも結構楽しみにしちゃっている。

今日はラクサスは用事があると言って出ていった。

私も気にせずに1人で好きな事をしている時連絡用ラクリマが光る。
ラクサスからと気づいて急いで出た。


『はいはい!ラクサス。何かあった?』


『嬉しそうだな。いや、ちょっと成り行きとはいえグレイんとこの女と一緒に買い物する。それだけ言っとこうと思って』


笑いながら言うラクサスに私の顔が固まる。
グレイの彼女ってあの綺麗な人じゃなかった?


『………良いよ。浮気しないでね!』


言いたい事はもちろんあったけど全部飲み込んで冗談交じりにそう言った。


『する訳ねえだろ。……ん。じゃあ切るな』


切れてしまったラクリマを見てため息を着く。




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