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短編 フェアリーテイル

第13章 ラクサス 「お前だけ」


パーティーが終わってから本当にラクサスの家に連れられた。

ラクサスは私を中に通した後、シャワーを浴びに行く。
その手を掴んで言った。


「ちょっとラクサス…。同棲は流石に気が早くない?」


「何言ってんだお前。俺はこれ以上お前と離れる気はねえ。お前こそ覚悟決めろ」


フンッと鼻で笑ってから手を振り払って浴室に向かった彼
私は頬を膨らませて小さく言う。


「……また名前呼んでくれない」


「あ?」


浴室から顔を出している。
私は下を向きながらまた呟く。


「…名前も呼んでくれない人と同棲なんか出来ないもん」


すると頭にポン、と手を置かれる。上を見ると優しい顔で笑うラクサスがいた。
むにっと頬をつねられる。


「カナタ。これで良いか?」


見つめられながら名前を呼ばれるのに慣れてなくて顔が真っ赤になっていく。


「う、…ずるい」


「何がずるいんだよ。……たく。こんなもんで赤くなってんならこの先どうすんだ」


笑いながらまた浴室に向かっていったラクサスを見て私はベッドに顔を埋めた。

その後私もお風呂に入った。
ドライヤーで髪を乾かしてから浴室を出るとベッドに座っていたラクサスが自分の横を叩く。

………恋人になったんだし。
そういう事するんだよね?

ガチガチに緊張しながら横に座る。
するとラクサスは横になった。

………うん?


「久しぶりに会ったんだから寝ながら話そうぜ」


と私にも寝転がるように手で促す。

……なんか恥ずかし。

思い切って横に寝転がると私の頭の下にラクサスは右腕を差し込んでくる。

腕枕!!
憧れてたやつ!

目を輝かせているとラクサスは笑う。


「そんなに嬉しいのかよ」


「もちろんだよ!だって好きな人にこんな事されたら…!」


嬉しすぎてラクサスの腕にすりつく。


「っ…。………そうか」


ラクサスは少し驚いたような顔をしてから私の頭を右手で優しく撫でる。

これまでの、色んな事を話した。
もう夜更けで眠たくて目を瞑りかけている私の頭をラクサスは撫でてくれている。


「もう寝んのか?」


「んん〜…。寝ない」


しかし瞼は言うことを聞かない。
ゆっくり閉じていってしまう。


「……おやすみ」


その声で眠りについた。



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