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短編 フェアリーテイル

第12章 グレイ 「貴方の横にいたいから」


私の顔が熱くなっていく。
2人きりの部屋だし、だよね?緊張する…!

グレイの顔を見ると私とは裏腹にそれは心配そうな、悲しそうな顔で。

…グレイ何か悩み事でもあるのかな。

私が心配して、


「グレイ…?」


と顔を覗き込むとグレイは私を押し倒した。


「!……どうしたの?」


「お前さ、俺に言ってねえ事あんだろ?」


酷く澄んだ瞳で上から見つめられる。
……もしかしてラクサスが吹き込んだな。


「何も無いよ」


と一言言ってから目を逸らして起き上がろうとソファに肘をついた。
グレイはそんな様子の私を見て息を飲んだ。


「っ...嘘ついてんじゃねえ!…なんでラクサスの奴には言えて俺には言えねえんだよ…!!」


怒鳴り声に体が固まる。
私の肩の横に手をついて逃げられないように私のお腹の上に馬乗りになったグレイ。
少し涙目で本気で怒っている。

……こんなグレイは見たことが無い。
私がここまでグレイを傷つけたのか。


「ごめん…。グレイ…」


私は彼の頬を撫でた。
すると彼は私の手を取って握りしめてくる。もう片方の彼の手は自分の目を擦りながら。


少し落ち着いたのか彼は深呼吸をして私のお腹の上から離れた。
繋いだ手は離さずに私が横に座るのを見てから落ち着いた声で聞いてくる。


「…何があったんだ」


「…グレイの彼女って周りにバレた次の日からクエストとかでたまに軽い嫌がらせされてて」


私は下を向きながらそう話す。
手を握る力が強くなった。


「でも、完全にこのせいかって言われるとそれも分かんなくて。……何か言って依頼人が減るのはお互いのギルドの迷惑だしグレイにも心配かけたくなくて」


また手を握る力が強くなる。
痛かったけど何も言わなかった。

しばらく無言の時間が続く。


「……そいつら誰だよ。俺が一言」


「やめて。私は皆にそんな事で迷惑かけたくないの。……分かってくれるでしょ。グレイなら」


怒りの籠った声で言う言葉に私は重ねた。


「っ……!でも、それ知って黙って見てろって言うのかよ?」


「…私はグレイの事好きな人の気持ちよく分かるし、何で好きになったのかも分かる。優しくて、かっこよくて。こんな変哲もない私が彼女になれたのって凄くない?」


グレイは話の意味がわからないと言う顔をする



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