第12章 グレイ 「貴方の横にいたいから」
カフェに入る。
そして今までの事を話した。
「私指定のクエストに向かっても何故か終わってたり間違いだったり。偶然かもだけどグレイと付き合い始めてからなんです」
ふーん…、と目をつぶりながら聞いている。
「グレイに言えよ」
「……嫌。だってそれで変な気使われても嫌だし」
そう言うとあからさまに顔を顰めた。
私はそれを無視して話を続ける。
「それにグレイとその人たちが言い争いするとあっちにもこっちのギルドにも不利益なんです。こっちのギルドに関しては常連さんとかいますからね」
本心をラクサスさんに話してスッキリした。
怪訝に眉をひそめる彼に頭を下げる。
「でも何かスッキリしました。聞いてくれてありがとうございます!」
「まー…良いけど。俺の話じゃねえし。でも俺の女がそんな事黙ってたら俺はキレるけどな」
言え、と促す言葉を私は流す。
そんな私を見て呆れたように彼は笑った。
「じゃあ帰りましょうか。彼女さん喜んでくれると良いんですけど」
「……ああ。きっと」
そう言ってカフェを出て別れた。
それから何日かして久しぶりにグレイに会う約束をしていた私は精一杯めかしこむ。
少ししてインターフォンが鳴る。
急いでドアを開けるとグレイは少し微笑んで私の家に入ってきた。
「おう。久々だな。カナタ」
「久しぶり!会いたかった!」
そう言って抱きつくと彼も軽く背を撫でてくれる。
部屋に案内してグレイが好きな料理を作ろう。
私が料理をしているとグレイが台所にきてじーっと見つめてくる。
「…どしたの?」
「………いや、何でもねえ」
何故か苦虫を潰しているような顔をした。
首を傾げながら見つめていると彼は笑って、
「料理、楽しみだ」
とだけ言って部屋に戻ってしまった。
ご飯を食べ終わってお風呂にも入り終わった。
今日は泊まって行ってくれると言う事で珍しいと思う気持ちと嬉しい気持ちでいっぱいになっている。
「グレイ!今から映画でも見る?」
そう言ってソファに座っている彼の横に座る。
するとグレイは私の手を握った。