第12章 グレイ 「貴方の横にいたいから」
『わかった。行ってくるね』
少し笑いながら言うと、
『何笑ってんだよ』
とグレイも笑いを含んだ声で言ってくる。彼の方からナツの声が聞こえる。
『あ?待て。...待てねえ?......チッ。すまねえ。アイツらが呼んでる。切るぞ?』
ラクリマを切られそうになる手前に慌てて言った。
『待って。…グレイ!気をつけてね!』
『ん、おう。』
笑いを含んだ声で連絡が消える。
ラクサスは……あちらも楽しそうに話している。
あんな顔見た事ないな。
遠くから見ているとラクサスと目が合う。そしてラクリマを切ってからこっちに歩いてきた。
「どうだ?俺は大丈夫だ」
「グレイは来れないみたいだけど了承は得ましたよ。行きましょうか」
彼女さんの好みを聞きながら彼の渡したい物などを聞いてある程度行く場所を決める。
可愛い服屋さんを選んでから彼と綺麗めなワンピースを選んだ後私は考えた。
知らない女の人と選んでもらったプレゼントって誕生日にもらって嬉しいか?
買ってしまって何だが違う気がする。
「やっぱり貴方が彼女さんの為に考えた方が良いです。買っちゃったけど」
歩きながらそう言うとラクサスは少し止まった。
「そうだよな」
そして何分か考えてから。
「わーった。付き合ってもらってありがとな。良い物思いついたから後で買いに行くわ」
と言って笑った。
用が済んだので別れようとするとラクサスは私に聞いてくる。
「そう言えばお前、ここに何しに来たんだ」
そう言われて嫌な事を思い出す。
私は頭を抑えてから聞く。
「……聞いてくれますか?」
「そんくらいならな。こっちの礼だ」
眉間に皺を寄せる私の顔を見て何か察したのか笑いながら背中を叩かれた。