第12章 グレイ 「貴方の横にいたいから」
あの後正式に付き合う事になった私達。
あっという間にそれは知れ渡った。
うちのギルドの人もあっちのギルドの人も皆喜んでくれて嬉しかった。
でもまあ一部の人からは批判される訳で。
グレイは結構人気があるから女の子からキッと睨まれることもあったりする。
これが最近の悩みだ。
実はつい先日から嫌がらせを受けている。
嫌がらせと言えど軽いものが多いんだけど。
クエストを指名されて行ってみたら誰も居なかったり用がなかったり。
「あれ?そんな事もあったかな」
とか言われる。
最初は腹が立ったけど今は慣れたからもう良い。
今日もそうだ。
マグノリアまで出たのだがもう他の人に解決してもらったとか。本当なのか嘘なのか分からないからやめてほしい。
溜息をつきながら帰っているところにラクサスが目の前から歩いてくる。
「…ん?おう。グレイの」
私に気づいたラクサスは手を上げる。
「久しぶりです。カナタです。あの時はありがとう」
頭を下げるとラクサスは笑った。
「お前らがまどろっこしすぎてイライラしてたからな。勝手にやった事だ。礼はいらねえ」
そして私の横を歩き出すラクサス。
……?あっちから来たんじゃなかったっけ。
「どうしたんですか?」
「ああ、俺の女の誕生日が近いんだ。…前言撤回
。あの時の恩を返すなら何あげたら良いか教えてくれ」
え、ラクサスにも女の子がいるのか。
初めて聞いた事に顔がニヤつく。
「何笑ってんだテメエ」
「いや。……グレイに連絡していいですか?一応男の人ですし」
少し眉間に皺を寄せたラクサスにそう言うと彼も笑って言った。
「ん。何ならグレイの奴も着いてきてもらっても構わねえ。俺もアイツに言ってる方が良いか。じゃあちょっと」
少し離れたところで連絡用ラクリマで話し始めたのを見て 私もグレイに連絡する。
『グレイ?今からラクサスと出かけに行くんだけど一緒に行かない?』
グレイの唸り声が聞こえる。
『んー……、生憎今遠くの方にクエストに向かってたんだよ。何しに行くんだ?』
『彼女さんの誕生日プレゼント選びに行くの』
少しの沈黙が流れる。
そして
『アイツなら何もしねえだろ。わかった。協力してやってくれ。……万が一何かあったらすぐ言えよ』