第1章 ナツ 「あの宝石」
「あれ?もうでてきたの〜?」
ハッピーがシャルルと一緒に部屋の外に座っていた。
「皆は?」
「外にいるよ!」
ハッピーにお礼を言うと走って外に出た。後ろからは何故かシャルルの怒る声がする。
建物から出るとすでに暗くなった外にルーシィとハシラさんが。ルーシィが私の顔を見た。
「え、はや!ちょっと早く早く!!」
ハシラさんの背中をバンバンと叩く。ハシラさんも私を見て焦って叫んだ。
「お、お願いします!!」
すると下の集落がパッと光りだした。
「え...?」
ポツポツと家の電気がつき始めて満面に光の花が咲く。そして電気が全部ついたであろうとき和楽器の音楽が鳴り始めた。
ルーシィは1人で下の集落に降りていってしまう。
祭囃子や太鼓の音が綺麗に聞こえてくる。
「...これは?」
ハシラさんに聞くと、
「...祭、です」
と答えた。
「本当はもっと綺麗なんですけどね。この日に間に合わせようと思ったら少しだけクオリティ下がっちゃいましたね」
あはは、と笑っている。
あの男の人が言っていた祭がこれか。神様を祀る、だけあってクオリティが低いとか言っときながら凄い技術がいるんだろうな。
「ていうか..、なんで祭をまたやろうと...?」
私が集落を見ながら聞くとハシラさんも下の集落を同じように見ながら言う。
「ナツさんから聞いたんです。『神が怒ってる』って。『お前らも悪い』って。それで、僕たちがしていたことに気がついた。こんな事で許されると思わないんですけどね」
ナツ、伝えてくれたんだ。
神様の思いがハシラさん達に伝わったんだ。
良かった。
音楽と景色に酔いしれていた時、急に思い出したようにハシラさんは話し出す。
「たぶん、あなたにだと思うんですけど...この村特有の宝石、見ていただけましたか?」
「...宝石?」