第14章 𑁍眠り姫と真紅の狼さん / 真田幸村
「ん……起きねーし、どんだけだよ」
少し唇を離して、ぼやく。
結衣は起きる素振りも見せない、よっぽど熟睡しているのか、こんな所で。
ヤローばかりに囲まれて生活しているのに、こんな風に眠ったりして警戒心が無さすぎる。
だから、こうして俺に襲われるんだろう?
────もう止まらねーからな、結衣。
「……っと、軽いな」
俺は体勢を変え、結衣の体を畳へと静かに横倒した。
それに覆い被さるように、顔の横で両手を着く。
……やっぱり起きない。
だが、こうして上から女を見下ろすと欲情してくるあたり、やはり俺も男なのだと思った。
それが意識してる女なら、尚更だ。
「結衣……」
「んー……ゆ、き……」
「っ……なんの夢見てんだよ」
再度名前を呼ばれて、動揺がぶり返す。
夢の中に俺が出てきているのだろうか。
それはそれで嬉しいが、こうやって無自覚に名前を呼ばれる度に心ノ臓が跳ね上がるんだよ。
全部、お前のせいなんだから責任取れ。
自覚なくても、俺を煽った責任を。
俺は結衣の首筋に顔を埋め、その白く細い首にちゅうっと吸い付いた。
途端に肌が跳ねたが、起きた訳ではないらしい。
少し強めに吸って離せば、そこにはくっきりと所有痕という赤い花が咲く。
(このくらいはいいだろ、仕置きに)
無防備に寝姿を晒した仕置きだ、思いっきり恥ずかしがればいい。
……付けたのは俺だと言うけど。
そのまま手も動かし、着物の上から胸に触れる。
少し揉むようにすれば、結衣が微かに体をよじって声を上げた。
「ん、や……」
(寝ながら、感じてるとか?)
無意識に上げた声かもしれないが、やたら艶っぽく響いたその掠れ声に血が沸き立つ。
まるで戦の時みたいだ、息が上がって興奮して……
俺の中の武人としての本能が剥き出しになるように。
なんか、堪らねー気持ち。
もっと乱したい、この白く綺麗なものを。
俺の色に染めてしまいたい、
激情に混ざり合う、真紅に。
「は……っ結衣……」
俺は着物の合わせから手を差し入れ、直接その柔らかな場所に触れた。
温かく、モチモチとハリのある感触。
でもしっとりと手に馴染み……吸い付くような肌である。