第12章 𑁍蒼色マリアージュ《蜜愛編》/ 伊達政宗
「結衣……愛してる」
そうして弾けたお互いの想いは、ひとつに溶け合って混ざり合っていく。
久しぶりに手を這わせた柔肌は、酷く俺を刺激して欲情させた。
抱きたいのも、お前だけだ。
今更ながらの溺愛っぷりに苦笑しながらも……
高ぶる想いを露わにしていった。
***
「ね、政宗……」
「どうした?」
「なんか、変な気分…いつもより、なんか」
「あー……そういう香が焚かれてるからだろ。元々閨を共にする茶屋だしな」
仄かにしか灯っていない行灯と。
甘い、芯から疼くような甘い匂い。
金木犀だったり、沈丁花だったり、季節に合わせた気持ちを高める香がいつも焚かれている。
……って、それを知ってるのは、割とこの茶屋は使っていたからだ。
その日の気分のまま、気に入ってる相手と夜を過ごした事は、それこそ数え切れない。
結衣だって、最初はそうだと思っていた。
けれど……
こいつは、こいつだけはどの女とも違って。
名前を呼ばれるだけで、胸が詰まったし。
触れれば『もっと』と、渇望を生んだ。
そんな相手は初めてだった、そして……
俺は『愛』というものを知ったのかもしれない。
「あっ……ん……っ」
部屋中に充満する甘い匂いにも負けないくらい、結衣の肌は甘い。
背骨に沿って口づけながら降りていけば、結衣は肌を震わせてよがった。
真っ白で滑らかで……
結衣は背中から尻にかけての線が、ものすごく色っぽいと思う。
今は襦袢が背中だけ脱げている状態だから、尻はまだ隠れているけれど。
この中途半端に脱げた加減が、妙にそそるのだ。
……俺の性癖は異常か、普通だろ?
「あー、久しぶりで色々まずいな」
「え……?」
「色んな意味で抑えられる自信が無い」
「っ……ぁ、あっ……」
「もうその声聞くだけで、頭沸騰しそうだ」
そのはだけた背中に覆いかぶさり、手を前に回して二つの膨らみに触れる。
この手にしっくりと収まる感じ。
柔らかくも張りがあって、触れ心地は最高。
そして……感度も最高。
「……あぁっ!」
人差し指で先を弾くと、また甲高く啼く結衣。
好いんだろうな、可愛い。
そう思えば、もっと好くしたくて、そこばかりを執拗に愛でていく。