第12章 𑁍蒼色マリアージュ《蜜愛編》/ 伊達政宗
(─────ほんと、敵わねぇな)
「おい、結衣。一応聞くが」
「あっ……」
俺は結衣を起き上がらせ、額と額をくっつける。
そのまま目を覗き込みながら、『念の為』に問いかけた。
「俺と別れて若旦那と恋仲になったって言う噂は、嘘でいいんだな」
「嘘も何も別れてないじゃない。政宗だって、私と別れて町娘と恋仲になったって噂あったよ?」
「そうなのか?」
「おかげですごいモヤモヤした!嫉妬してたのは政宗だけじゃないんだよ」
結衣の話を聞いて、思わず口元が緩む。
噂の出処は解らない、でもきっとお互いの行動を見た誰かが勘違いして噂したのだろう。
だって俺達は何も変わっていない。
結衣は俺を好きだし、俺もこいつを愛してる。
お互いが少し信じられなかっただけだ。
離れていたから、きっと気持ちを見失いかけていたのかもしれない。
「結衣……」
「うん?」
「顔を見れなかった数日、寂しかった」
「っ……私も、政宗に会いたかったよ」
「悪かったな」
「私こそ、ごめんね」
見つめ合い、自然と唇が重なった。
甘い味も久しぶり、やはり噛み付いてはこいつの味なんか解らない。
ゆっくり舌を絡めて、柔らかく溶かして。
そうすれば、結衣も気持ちよさそうにするから。
(─────堪らなく、疼く)
そのまま押し倒したら、結衣も熱を孕んだ瞳で見つめ返してくる。
ああ、欲しがってる、可愛い。
そう思えば、腰の辺りがじくじくと痺れた。
心が高ぶり、熱を上げていく。
甘い音を立てて唇を離せば……
結衣は物欲しそうに、喉を鳴らした。
「……欲しがりだな、かーわい」
「だって……愛されたいよ」
「俺も、お前を抱きたい」
「っ……ん……」
もう一度軽く唇を啄んで、結衣を抱き上げる。
恥ずかしそうに俯きながらも、結衣は胸元をしっかり掴んで俺に身を預けた。
いちいち可愛いんだよな、底抜けに。
もう、めちゃくちゃに気持ちよくさせたい。
そして、溺れるほどに気持ちよくなりたい。
しばらく会えなかった分の感情が爆発して……
飛び散った火花で、火傷してしまいそうだった。