第12章 𑁍蒼色マリアージュ《蜜愛編》/ 伊達政宗
強く言って、ぴしゃりと襖を閉める。
竜の逆鱗に触れた、はっきり言って俺自身自分がどうなるか解らない。
ただ、怒りと嫉妬と色んな感情がごちゃ混ぜになって……
ただただ俺の中を支配していたのだった。
*
取り残された凛と若旦那は、ぽかーんとしながら一連の流れを見ていた。
だが、凛は何故か笑みを浮かべ、着物の乱れを直すと若旦那にのほほんと話しかけた。
「さ、帰りましょ」
「え、大丈夫ですか……あれ」
「大丈夫じゃなくても、何とかしなきゃ。あーゆうのはとことんやり合わなきゃ解決しませんって」
凛はあっけらかんと言ってのけた。
若旦那は不安そうに結衣の連れていかれた部屋の方を見ていたが…やがてふっと口元を緩めた。
「やっぱり…二人の間に入る隙はこれっぽっちもなかったなあ」
「え、そんな事しようとしてたんですか?無駄な努力〜」
「結衣さん、私と居ても政宗様の話ばかり楽しそうにしてまして。ちょっと悔しかったんですが、なんか諦めつきました」
「政宗様だってそうよ、特定の誰かなんて作る気なかったくせに……結衣様が絡むとあんなにヤキモチ妬くの」
「そうなんですね、それに……」
政宗を追いかけ、茶屋に乗り込んだ結衣。
後先も考えず……
あんなに強い女性だとは知らなかった。
素直で、優しくて、可愛くて。
もっと穏やかな女性なのだと思っていたが。
「……全然、妻とは違いましたね」
若旦那は小さく言って困ったように笑う。
そして、どこか吹っ切れたように、凛と茶屋を後にした。
*
「んっ…んぅ、ぁ……!」
結衣を畳に組み敷いて、唇を奪う。
小さな躰を己のそれで押さえつけ、絶対逃げられないようにして。
噛みついたら離さない、奥まで奪って唾を飲み込んで、深く深く攻め込んだ。
結衣は逃げたくても、俺に手を絡め取られてるから逃げられないのだろう。
息も出来ていないのか、顔が真っ赤になっていく。
「ん……っ」
「ま、さ、っ……ん!」
荒れた息が時折漏れるものの、その隙すら許さないといったように結衣に荒々しく口づけた。
散々口内を犯すだけ犯して、離してやる。
すると結衣は銀の糸を伝わせながら、やっと空気を肺に取り込んだようだった。