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【イケメン戦国】花紅柳緑𑁍𓏸𓈒

第11章 蒼色マリアージュ《疑惑編》 / 伊達政宗




「祝言の日取りが決まったら、文を寄越せ。都合をつけて向かう」
「信長様が直々に?!」
「表向きは結衣は織田の姫だ、花嫁側の親族として参加する」


信長様に貫禄のある笑みを向けられ、その言葉に目を見開いてしまった。
そうか、織田と伊達の一族が親類になるんだ。
なんか大変な事になるんだな……

こうして話すだけで、身が引き締まる。
でも女としては、やっぱり結婚は嬉しい。



こうして信長様に挨拶も済み、奥羽へ行く日も明確になって、祝言に向けて進み始めた。
だけど、私はこの時まだ知らなかった。
私と政宗の間に、最後のゴダゴダが待ち構えていること。

ただ好きな人と結ばれるのが嬉しくて、私は盲目的になっていたのかもしれない。
きちんと考えれば回避できた事なのに……
私はただただ頭の中が薔薇色で、色んな事柄が見えなくなっていたのだ。







***








「こちらがお品物になります、お納めください」
「ありがとう、拝見させていただくよ」


信長様の元に報告に行った日の午後。
私は得意先に、頼まれた着物の納品に行っていた。
ご贔屓にしてくれていて、いつも私に仕事を頼んでくれる富豪の若旦那さん。
サラサラとした黒髪の綺麗な顔立ちをした方で、少し野性味を帯びながらも優しい口調で話す。
強いて言うなら、政宗と三成君あたりを足して二で割ったような感じだろうか。

今日もゆっくりと縫い上がったばかりの長着に目を通し、やがて目を細めて笑んだ。


「とても素晴らしい、いつもありがとう」
「いえいえ、喜んでいただけて良かったです」
「今お代を用意させよう。ところで、今日この後は暇?」
「え?」


いきなりの問いかけに、私が首を傾げると……
若旦那さんはニコニコと笑いながら、その意味を教えてくれた。


「とても美味しい甘味屋があって、そこでいつも世話になっているお礼をさせてほしい」
「一緒に甘味屋さん…ですか?」
「ええ、ぜひ奢らせてください。行きましょう、ね?」


少し強引に押し切られ、出かける準備を始める若旦那さん。
まだ『はい』と答えてないんだけどな、と思いつつも、まあいいかと私は安直に考えていた。






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