第11章 蒼色マリアージュ《疑惑編》 / 伊達政宗
愛に試練は付き物?
もうすぐ正式に政宗と結ばれるのに……
神様の与えた試練なのか、
自分で撒いた種なのか。
私と政宗、周りの人達も巻き込んで、
祝言前の一悶着が幕を上げる──……!
***
「ほう……青葉城で祝言をな」
新緑萌える某日。
政宗と私は天主の信長様の元へ挨拶に来ていた。
色んな意味で戦も一件落着し、そろそろ奥羽へ帰るか……と政宗は考えていたようで。
そして、私達は恋仲関係から婚約を交わしていた。
政宗は私との祝言も青葉城に戻ってから挙げたいと、それを前々から決めていたようだった。
「正室を迎えたと国に示すためにも、奥羽で祝言を挙げるのが一番だと。諍(いさか)いも今は落ち着いてる、だから信長様に結衣を連れていく許可をいただきたい」
「それは確かに妥当だな、国主として当然だ。青葉城へはいつ戻る予定だ」
「睦月頭の予定です、今の公務を終えてからですね」
「なるほど、承知した」
(正室……そうなんだけど、改めて言われると)
少しくすぐったい響きに、私は口元が緩む。
政宗は一国の当主なのだから、もちろん婚姻だなんだも割と格式ばったと言うか厳(おごそ)かなのだろうけど……
それでも私にとっては、大好きな人の妻になるだけ。
だから……いよいよだなって、緊張と同時に嬉しさが湧き上がる。
────色々あったよね、私達
すれ違った日もあったし、離れ離れになってしまった事もあった。
けれど『愛』は常に心にあって、政宗の存在はいつも私を明るく照らしてくれた。
だから、ようやく正式に結ばれる事がとても嬉しい。
「なんだ、にやにやして。やらしい奴」
「ふふっ、嬉しいだけだよ」
緩んだ表情を見られ、政宗が私をからかう。
すると、信長様の傍で控えて座っていた秀吉さんが若干険しい顔をして政宗に言った。
「政宗、結衣を幸せにしてやれよ?絶対だぞ」
「秀吉、結衣が俺と居て不幸になるわけがないだろ」
「泣かせるなよ?泣かせたら、ただじゃおかないからな」
秀吉さんは本気で心配しているようだ。
優しい人だよね、私を妹みたいに可愛がってくれる。
だから……絶対幸せにならないとなあ。