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【イケメン戦国】花紅柳緑𑁍𓏸𓈒

第10章 初愛の君に終焉の愛を誓う / 豊臣秀吉




そう言ってふわりと抱き締めたら、結衣も俺の背中に腕を回してきた。
微かに体が震えている、泣かせてしまっただろうか。
すると、結衣は胸元から顔を上げる。
少し潤んだその瞳は……艶やかで真っ黒い宝石のように見えた。


「ごめん、秀吉さん」
「謝るのは俺の方だろ」
「違うよ、だって…私が勝手に秀吉さんの過去の女の人に嫉妬してたから」
「結衣……」
「秀吉さんが私以外の女の人の髪を結ったり、愛したりしてたのが、なんかすごく嫌で。ごめん、子どもっぽくて」



(嫉妬してたのは……俺の方だ)



他の男に頭を撫でられてるお前を見た時、胸の中がどす黒く焦げるかと思った。
お前に触れるのは俺の特権。
だから……他の野郎が触れるのは絶対許せないと。

些細な事で動揺したり、嫉妬したり。
大人になったつもりでも、時に戸惑う。
それはやっぱり、心底惚れてるからだと思う。
こんな相手は初めてだし……
そういう意味では、お前は『最初の女』で『初恋』で、そして『最後の女との恋』なのだろう。
そう思ったら、やたら心が納得した。


「ありがとな、結衣。それだけ俺を想ってくれてるって事だろ?」
「あ、当たり前だよっ」
「それがすごく嬉しい。まあ、俺の方がお前を想ってるけどな」
「えっ、私の方が秀吉さんを愛してるよ!」


俺の言葉に負けじと言い返す結衣。
若干頬を膨らませているのが可愛いなあ……
たまに幼く見えたり、大人びて見えたり、色っぽく見えたり、あどけなかったり。
色んな表情を併せ持ってる、だからどんな時でも新鮮で、いつもお前に恋をするのだろう。

(あー……昨夜も愛したのに、もう飢えた)

お前を愛すると満たされると同時に飢えていく。
心から結衣を渇望し、渇いてまた潤って。
その周期が酷く短い、だから……
昨夜は昨夜、今夜は今夜。
無理をさせると思っていても、止まらない。


「じゃあ、お前なりに気持ちを見せてくれ」
「あ……」


俺は結衣を抱き締めたまま仰向けに寝転んだ。
さすれば、まるで結衣に押し倒されているような、そんな気にさせられる。
結衣はと言えば、ちょっと頬を染めながら少し顔を上げて。
いつもは俺が見下ろしているから、下から見上げるのは不思議な気分だ。




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