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【イケメン戦国】花紅柳緑𑁍𓏸𓈒

第4章 熟した果実の甘い嫉妬 / 織田信長




「貴様が他の女の影を見ていた事が、妙に腹立たしかった。確かに女物の匂いはさせていたが……そんなものは微塵もない。俺は貴様しか愛しておらん、だがそれを疑われたようで、何故か感情が沈んだ」
「そう、だったんですね……」
「貴様を思ってした事が急に馬鹿らしく思えて、匂いを纏った理由すら言いたくなくなった。だが…逆の立場になって考えれば、俺も貴様を疑うだろう。嫉妬に駆られて、貴様を泣かせるかもしれないと。……悪かった、子供染みた感情をぶつけた」



​─────嫉妬



ああ、そうか。
その言葉が、コトンと音を立てて心にはまった。
私、その匂いに嫉妬したんだ。
誰か知らない女の人の香りだと、居もしない誰かにヤキモチを妬いたんだ。

私だって気持ちを疑われればショックを受けるだろう。
そして、正直に話すことすら馬鹿らしくなるかも。
自分に置き換えて考えれば、こんなにすんなりと相手を理解することが出来るのに……

私は信長様の方に向き直る。
そして、その広い胸にギュッと抱きついた。


「私こそごめんなさい、貴方を疑って。私が信長様を傷つけてしまったんですね」
「そのようなことはない」
「いいえ、そうです。私は信長様に他の女の人なんている筈ないって解っているのに、勝手にモヤモヤしてました。でも…貴方と喧嘩している間、寂しかったです」


信長様を見上げれば、信長様は優しく笑みを浮かべて私を見下ろす。
紅く穏やかな炎を宿した瞳、それはゆっくり近づいてきて……
私の唇を、甘い音を立てて軽く啄んだ。


「仲直りだな」
「はいっ、仲直りですね」
「……良かった、貴様に触れられないのは堪える」


そう言って、信長様は私の額や頬に口づける。
久しぶりの淡い温もりに、心がトクトクと駆け足になり始めた。
私は精一杯の笑顔を浮かべ、今日一番言いたかった事をやっと伝える。


「信長様、お誕生日おめでとうございます。生まれてきてくれて、私と出会ってくれて、本当にありがとうございます……愛していますよ」





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