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【イケメン戦国】花紅柳緑𑁍𓏸𓈒

第3章 いろはに恋を / 伊達政宗




啄むとか、軽くとか。
そんな口づけは何度もしてきたけれど、こんなに深く唇を重ねたのは初めてだ。
……うん、悪くない。
気持ちいいし、何だか甘い。

こういうのは徹底的に見せつけねば、相手の気持ちを削ぐことは出来ないから。
俺は体全体で結衣を押さえ付けたまま、着物の裾を割って膝を脚の間に入れる。
はらりと着物がはだけた所から手を差し入れて、ゆるりと滑らかな太ももを撫で上げた。


「んっ……んぅ、ぁ……」


結衣の息が上がり、艶やかに漏れ始めて。
……と、微かにこちらに近寄る足音が聞こえたため、俺は視線だけを大通り側に移した。
案の定、先程目の端に捕らえた男が、少し離れた場所で、こちらを見ながら立ち尽くしている。

『​────諦めな』

そう目だけで言って、不敵に視線を細めれば、男はどこか傷ついたような顔をして行ってしまった。
少しだけ可哀想な気もしたが、これでもう付け回されることもあるまい。


「……行ったな」


俺はそこで唇を離し、ぽつりと漏らす。
撫でていた脚からも手を離し、そこでようやく結衣の顔を見た。
今まで男の動きが気になって、口づけていても結衣の顔はまともに見ていなかったからだ。

​─────だが、


「……!」


その結衣の表情に、ドクンと心ノ臓が高鳴る。
潤んだ黒い瞳、紅潮した頬。
半開きの唇は濡れ、息を切らせていて……
どこか放心したような、とろりと蕩けたその顔。
それは『行為』の先駆けを連想させ、胸の内を焼け焦がすような気がした。

この血肉沸き踊る感じ。
戦場での高揚感にも似たそれは結衣に向けられ、体を芯から疼かせる。

​────ああ、そうか
結衣に興奮しているのか、俺。


「……」
「ま、さ…むね……?」
「っ……」


蕩心した声で名前を呼ばれ、ゾクッとした。
名前を呼ばれるだけで、息苦しくなる。
"愛しい"と胸が熱くなる気持ちの名前が、ずっと解らずにいたけれど……
そうか、こういう気持ちって、多分。

俺は結衣の頬に指を滑らせ、その瞳を覗き込んだ。
吸い込まれそうなくらいに澄んだそれを見ていると、眩暈が起きそうだ。
そのまま、するりと俺の本音が唇からこぼれ落ちる。


「続き……するか、御殿で」
「っ……」
「と言うか、したい」




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