第1章 零太くん、一生のお願い!
「アンタのお願いは聞いてあげたいっスけど……流石にこれは頷けませんよ」
「何で!?」
「逆に行けると思ってたんスか!?」
零太くんがシャウトしたが、私はそれには聞こえていないフリをする。露骨に目をそらすと、零太くんは呆れたような顔をした。
「だって、ケツで感じるようになるなんて……男としての何かが崩れるじゃないですか」
大丈夫、崩れないよ! 喉元まで出かかった言葉を堪えた。これは本人がどう思うかなものであり、私がどうこう言える事ではないからだ。
だが、諦めきれないのも事実。
かくなる上は……いや、出来ればこの手は使いたくなかったけれども。
「開発させてくれるなら、私──ナース服、着るよ」
私がそう言った瞬間、零太くんが固まった。
「……マジ?」
「……マジ」
これは、私の切り札だ。
以前私の家に零太くんが遊びに来た時、やけに大荷物だった。それが気になり聞いてみたところ、彼は鞄の中身を見せてくれた。鞄に入っていたのは、ナース服、刑事さんの制服などなど──大量のコスプレ服。
曰く、私に着てほしい、とのことで。私は全力で反対したし、結局何も着なかった。
しかし、しかしだ。
着る日は来ないだろうと思っていたナース服達も、零太くん(を開発させてもらう条件)のためならば……!
私の『覚悟』を見た零太くんは、私に開発されたくない気持ちと、私のコスプレ服姿を見れる事を天秤に掛け──。
「……一回だけですからね!」
コスプレ服を取った。