第6章 眠れる森の美女…103年後
再会を喜びながらも姫は葛藤していた。
(どうしよう。 もう、お父さまにすべてを、話してしまおうかしら)
突然、それまで黙って家族の様子を見守っていた鳥が、再び騒ぎだす。
「姫様、弟王子様があちらに! どうか彼について逃げてください。 待ってください、王子様、王子様!」
姫と窓に向かって交互にキョロキョロ頭を振り、彼が窓の外へと飛び出していく。
「えっと……だから、なぜ私が弟王子に」
鳥のそんな様を眺め、姫の頭にまたもや疑問符が浮かぶ。
窓から下をみると、確かに弟王子がいた。
なにやら、大きな荷物を馬の鞍に乗せているようだ。
上階からはよく聞こえないが、二人は何事か言い合っているようだった。
「あ? 何お前、平気で飛んで……仮病かよ。 てめ、さては。 怪我長引いてるふりして、今まで俺の出発遅らそうとしてやがったな!」
「大体、王子様が狭量なんですよ! 姫様に嫌いとか言われたぐらいでショボくれて、早くここから逃げようだなんて」
「ハア!? 違うし。 大体、何でそれ……まさか。 覗き見してやがったのか。 このクソ鳥が!」