第5章 眠れる森の美女…102年後♥️♥️
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それから大して時もたたず、人間の手が息も絶え絶えな鳥を掬いあげた。
「どうした? 羽に矢じりの跡か………戻って手当てをするからな」
ハルカが気遣わしげに鳥の様子を伺った。
「きっともう駄目です。 落ちて放り投げられた時に体を打って」
「お優しい王子様。 それより早く早く姫様の元へ。 もう一人の王子様にすべて奪われてしまいます」
他の鳥たちがけたたましく鳴きながら彼の周りを翔び周ってせかした。
「もう一人の………?」
鳥の怪我に気を取られていたハルカはそれを胸ポケットに収め「あっ」と声をあげて、兄と彼女の紋様のことを思い出した。
が、次の瞬間。
パアッと空が真昼のように明るくなり、同時に道中のいばらがほどけて、新たな花を次々につけた。
そのせいでいつもどこか暗い感じの森が華やかに彩られ、ハルカが見据える先の城は光り輝いている。
確認せずとも何となく理解したが、どうやら呪いは解けたらしい。