第5章 眠れる森の美女…102年後♥️♥️
「それより、思いがけず良いことを聞いた」
彼は鞍に下げていた荷物から弓矢を取り出した。
声の方向に向かって注意深く弓をひく。
ピイイ!
甲高い声がし、イズミの視界にバサバサ下に落ちていく小さな鳥が見えた。
「あれか」
彼が急いでそこへと走る。
そして地面に落ちていた、怪我をしている鳥を捕まえると
「聞こえたぞ。 お前、今の話は? オーロラ姫のことだろう。 呪いが解けるとはどういうことだ?」
荒い語気で聞いた。
普段のイズミとはうってかわって、凶暴な顔つきだった。
彼は小鳥をつかんでいる手に力をこめ脅しにかかった。
「死にたくなければ話せ」
「なりません。 私たちは…13番目の、魔女の、しもべ…」
「魔女? 魔女が何をした、言え!」
それきり鳥は口をつぐみ動かなくなった。
「チッ、使えない」
舌打ちをしたイズミはそれを投げ捨て、再び馬の方に戻った。
(ま、何にしろツイてる。 やっと彼女をものに出来るってことか)
彼の顔は紅潮していた。
今まで待ちに待った瞬間が目の前にある。
厄介なアレが消えかかってるのなら、オーロラ姫の貞操をいただくチャンスである。
そのあとに姫の傍で呪いが確実に解けるのを待とう。 唇を舌で湿らせたイズミはそう考えた。