第4章 眠れる森の美女…101年後♥️♥️
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それから二日後。
以前のように姫の様子を見にきた弟王子だった。
彼女は相変わらず眠っていた。
だがよく見ると、体裁だけは整えてあるにしろ、髪は乱れているし、口許は汚れ夜着に染みを作っている。
「ふう………仕方ない。 奴の動向を張らせておくか」
(兄貴がやたら機嫌よかったから、嫌な予感はしたんだよなあ)
兄王子が姫を辱しめたのは明白で、ハルカには徒労感しかなかった。
「姫さんさあ。 あんなのに気に入られて災難だよな」
同時に彼女に同情した。
それでも、下手に抵抗すると兄王子が手をあげるのも不思議ではない。 意識がない状態で、逆に彼女は良かったのかもしれない。 そうも思った。
「チュンチュン、ごきげんよう。 王子様」
「来ていただいてありがとうございます」
鳥たちがまたやってきて、棺の縁に止まった。
「ごきげんよろしくねえよ。 お前ら、姫を見守ってるんなら、なんでコイツが犯されてる時に助けない」
ハルカの詰問に鳥が首をかしげた。
「そりゃ個人的にはつつき殺したくなりますけども」
「必要なことだからです」
「私たちが望むと望まざるにかかわらず」
鳥たちが相変わらず被せて話すので、ハルカはうんざりして手のひらを彼らに向けて制した。
「もういい。 とにかく先に姫さんの洗濯だ」
姫を抱えて泉に向かう途中で鳥がハルカに聞いた。
「それなら王子様が助けて下さればよろしいのでは?」
それに彼の顔は暗い影を落とした。
「………俺が平民ならな」