• テキストサイズ

大人のおとぎ話 [ガチパロ]

第3章 みにくいあひるの子…森の家で♥️♥️



琥牙が彼女に少しずつ近付いた。

「元はといえばおれの責任だよ。 真弥はとばっちり食らったただけでしょ?」

気遣うように声をかけてみる。

先ほどまでの怖さや琥牙と会えた反動で、木こりの目に再びじわっと涙が溜まった。

「な、んですぐに……会いに来てくれなかったの? そりゃ、あんな弟がいて、嫌な思いをさせたから…だから私、うちを出たんだよ」

琥牙が木こりの体に目を走らせた。
そこかしこに前はなかった細かな打ち身や傷がある。

小さな家。
家具などは質素で、裕福な暮らしとは言い難い。

自分のために………? そう思うと、琥牙の胸が熱くなった。

「………おれ、こんなになったけど。 なんですぐに分かったの? 嫌じゃない?」

「分かんないわけない。 貴方は変わんない。 以前と同じに、キレイで澄んだ目だよ」

琥牙は何とも言えない気分になって、思わず木こりに手を伸ばした。

両腕に包んで彼女を抱きしめた。
今は小さくて細くて………変わらず柔らかな、彼女の体だと思った。

「ごめんね。 だけどおれは、片時も真弥を忘れてなかったよ」

そう言うとますます木こりが琥牙にしがみついて泣くので、彼は少し困ってしまった。

「真弥って意外と泣き虫なんだね。 それから、エッチなんだね」

「へ」

ひくっと木こりがしゃくりあげ、彼を見上げる。
琥牙は優しげに微笑んでいた。

「体はさっきおれの事、忘れてたでしょ? 真弥が気持ちいい時の匂いがしてたよ」

が、目が笑ってない。
木こりは薄らと寒いものを感じた。

「そんなことないよ!」

「あるよ」

にゅぷっ。

「っん!」

何かに刺されたみたいな鋭い感覚に木こりが驚く。



/ 220ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp