第3章 みにくいあひるの子…森の家で♥️♥️
琥牙が彼女に少しずつ近付いた。
「元はといえばおれの責任だよ。 真弥はとばっちり食らったただけでしょ?」
気遣うように声をかけてみる。
先ほどまでの怖さや琥牙と会えた反動で、木こりの目に再びじわっと涙が溜まった。
「な、んですぐに……会いに来てくれなかったの? そりゃ、あんな弟がいて、嫌な思いをさせたから…だから私、うちを出たんだよ」
琥牙が木こりの体に目を走らせた。
そこかしこに前はなかった細かな打ち身や傷がある。
小さな家。
家具などは質素で、裕福な暮らしとは言い難い。
自分のために………? そう思うと、琥牙の胸が熱くなった。
「………おれ、こんなになったけど。 なんですぐに分かったの? 嫌じゃない?」
「分かんないわけない。 貴方は変わんない。 以前と同じに、キレイで澄んだ目だよ」
琥牙は何とも言えない気分になって、思わず木こりに手を伸ばした。
両腕に包んで彼女を抱きしめた。
今は小さくて細くて………変わらず柔らかな、彼女の体だと思った。
「ごめんね。 だけどおれは、片時も真弥を忘れてなかったよ」
そう言うとますます木こりが琥牙にしがみついて泣くので、彼は少し困ってしまった。
「真弥って意外と泣き虫なんだね。 それから、エッチなんだね」
「へ」
ひくっと木こりがしゃくりあげ、彼を見上げる。
琥牙は優しげに微笑んでいた。
「体はさっきおれの事、忘れてたでしょ? 真弥が気持ちいい時の匂いがしてたよ」
が、目が笑ってない。
木こりは薄らと寒いものを感じた。
「そんなことないよ!」
「あるよ」
にゅぷっ。
「っん!」
何かに刺されたみたいな鋭い感覚に木こりが驚く。