第10章 マッチ売りの少女…12月31日♥
その瞬間、サラは驚きのあまり息が止まった。
頭が真っ白になり、一緒何も考えられなくなった。
心臓が激しく脈打ち、体が硬直して動かない。
(何これ……? なんで私キスされてるの?)
やがて唇が離れると、ホーリーは再び口づけをして今度は舌を入れてきた。
サラの口内を蹂躙するように舐め回し、唾液を流し込む。
サラはそれを飲み込むしかなかった。
喉を通る生温かい感触に、背筋がこわばる。
「んっ……んうっ……!」
息が苦しくなり、うめき声をあげるとようやく解放された。
だが息をつく間もなく今度は首筋に吸い付かれ、また悲鳴をあげる羽目になる。
それからしばらくのあいだ、青年は彼女の肌に舌を這わせたり甘噛みしたりしていたが、そのうちに顔を上げた。
そして呆然とした様子のサラを見下ろして満足そうに
「ふふ、ごちそうさまでしたあ」
と言うと、おもむろに自らの上着のボタンを外し始めたのだった。
「ちょっ……あの、なにを」
慌てて起き上がろうとするサラを押さえつけながら、彼は言った。
「だからあ、キミを連れていく前にね。 これからはお楽しみの時間だよお」
「……っ」
サラは絶句し、ホーリーの顔と、それからはだけていく彼の体を見つめていた。
(この人は何を言ってるんだろう……神様なのに…?…ううん、死神なら…なにかの儀式かしら)
思考が追いつかず、頭の中がぐるぐる回る。
「え、えーと……」
何か言わなければと思い口を開くが、その先の言葉が出てこない。