第10章 マッチ売りの少女…12月31日♥
床の上にはしわくちゃになった衣服が丸めて放置されていた。
青年から出された体液が布のしわの間に溜まっている。
サラはひざを抱えて泣いていた。
「うっ…ぐす…っ」
ここがどこか分からない。 加えて、得体の知れない人に恐ろしいものを無理やり見せつけられたからだった。
(あ…あんなに汚れてしまったら、もう着れないわ。 なんだか変な汁がついたし)
静まり返った部屋の中で、少女は俯いたまま暖炉に火が入れられる音に耳を傾けた。
「はああ。 気持ちよかったああ………やっぱり生で見るサラちゃんはいいよお…半年分溜め込んだだけあったなあ…ん?」
恍惚とした声で呟く青年がサラの傍へとにじり寄る。
「なに泣いてるのお?」
彼の気配を近くに感じながらもサラは顔を上げることが出来なかった。
すると、
「ねえ!? 」
「ひッ!?」
サラの顔を下から覗き込むように、青年が突然視界に割って入ってくる。
「サラちゃん、僕の自慰行為を覗いたよね?」
向かい合わせに座り、わくわくした表情で訊かれるも、
「え…あ、じ…じい……?」
サラには言葉の意味が理解できなかった。
青年がニヤア、と口の方はじをあげ、何が嬉しいのか肩を揺らして「クックック」と笑いをこぼす。
「悪い子だねええ…?……クッ、クッ…クックッ」
「………」
(この人…あいかわらず気味が悪いし、何を言ってるのか、全然分からないけど…今は、機嫌がよさそう……?)
とにかくこの場から離れたい一心のサラは、涙を呑み込み小さな声で言ってみる。
「あの。 わ、私…家に…帰らなくちゃ」
「んー、でも…ちょおっと不便だねえ」
四つん這いになっていた青年がサラの目をじいっと見て言う。
「ねえねえ、名前をつけてよ」