第10章 マッチ売りの少女…12月31日♥
お父さんのものと似ているようでどこか違う。
ただそれがさらけ出していいものかどうかぐらいは少女にも分かる。
目を逸らそうとして、彼の手が小刻みに動いているのが視界に入った。
「なにを…や、やめて!」
棒状になっているそれを手でしごいている青年がブツブツと呟く。
見たくも聞きたくもないとサラが思っても、狭い室内では難しかった。
「サラちゃんの…サラちゃんの服…さてはこれ、何日も洗ってないよねええ?……サラちゃんに見られながらなんて…っっ」
「……いやあっ」
サラは背筋にぞっとするものを感じて、たまらず青年から洋服を取り上げようと近付いた。
「来るな!」
「…っ!!?」
青年にきつい口調で怒鳴られたサラはその場に立ちすくんだ。
すぐに彼からするどい目つきが消え失せて、元のような薄い笑いを浮かべる。
そしてサラの衣服を逃すまいとでもいうように、青年が両腕でそれをしっかりと抱きしめた。
「それ以上はまだだよお。 刺激が強すぎだからねえ」
弓状に細まった目は怒ってはいなそうで、サラは混乱しながらも、彼のお腹の下でそそり立っているものから顔を背けた。
「目を逸らすな!!」
「っ!!!?」
また怒鳴られて、サラがびくっと身を震わせた。
程なく、満足そうに頷いた青年はふたたび手でそれをしごき始める。
「そう…その位置で。 そうっそれ! 怯えた顔して、遠巻きに見ててねえ…次、僕から目逸らしたら殺すから」
興奮した面持ちでそんなことを言われ、サラは訳がわからなかった。
無理に見開いていた目から涙が出てきた。
すぐにでもこの場から逃げたいのに体が動かない。
手を激しく上下に動かしながら青年が天井を仰ぐ。
「あーそうそう、いいよイイよ、あーイクいくイきそううっ」
「…っ」
(あ、ああ…神様。 お助けください…)
サラは口を小さく動かして祈った。
いっそ消え入りたい気持ちをこらえて、少女はその場に立ち続けた。