第10章 マッチ売りの少女…12月31日♥
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青年が怖くてついてきたものの。
(私が間違っていたのかもしれない)
と、サラはそれを後悔していた。
「ふうう…くんくん。 サラちゃんの匂い……♡」
「………」
少女は唖然として床に座り込んでいる目の前の青年を眺めていた。
来る途中にあった建物の、廊下には同じようなドアがたくさん並んでいた。
ここはどこかのアパートか、もしかすると宿かもしれない。
つい先ほどのこと。
街中の古い建物の一室に半ば強引に連れ込まれたサラは部屋に入るなり、突然青年に突き飛ばされた。
「きゃあっ」
驚いて尻もちをうち、急いで体勢を整えてから、サラはおそるおそる戸口にいる青年に目を向けた─────すると彼女から上着をはぎ取った青年が、座り込んで夢中でそれに顔をすりつけている…といった現在の状況である。
「あ、あの…私の服」
「はあ、ハア…くんくん」
(どうしよう…気持ち悪いわ)
数少ないサラの洋服なのに、両手でそれを抱えてよだれでもたらさんばかりの青年の様子だった。
「やめて、やめてください」
「ふふ…くんくん、ハアハア…」
彼はちっともサラの方を見てくれなかった。
薄い肌着だけになってしまったサラは震えながら、真っ青になって青年に訴えた。
「お、お願いします、やめて」
「ふふ……うふふ……」
気味悪く笑った青年がしまいにガチャガチャと音を立ててベルトを外し、
「あああ、我慢できない」
「きゃあああ!」
赤黒い彼の一部をズボンから取り出したので少女は悲鳴をあげた。