第9章 閑話シンデレラ…舞踏会編♥♥
「貴方の様子がおかしいから、調べてみたのよねえ。 どうやら彼女、近々のうちに隣国へ嫁ぐらしいわ」
しばらくの沈黙の後、身を起こしたシンデレラは姉たちの方に向き直った。
『ちゃんと知ってるんだから』とでも言いたげな彼女の表情だったが、彼にそんなことを指摘する余裕はないようだ。
「それは…本当か? そいつは、アンナと知り合いとか………恋人同士とか?」
シンデレラが真剣な表情で疑問を投げかける。
その姿に姉はやや驚きつつも、姉の風格を保って答えを返した。
「城内で働いてる知人からの確かな情報よ。 いいえ、 二人は全くの初対面らしいわね…それにしてはこのお相手も」
いったん言葉を切った姉は不可解そうな表情を浮かべて腕を組んだ。
「あまり言うことではないけれど、もう中年も過ぎて貴族でも階級は下の方。 しかも、既に妻も二人いる。 家の事情かしらねえ」
「好きな男とは…その男でないのなら…なぜ? 結婚も、わざわざ…そんなのよりも俺の方がよほど」
イライラした様子で、独り言のように呟く彼の言葉に聞き耳を立てていた妹が彼に訊いた。
「シンデレラ。 あなた、嫉妬してるの?」
『嫉妬はしないのではなくて?』と、シンデレラはあの夜にアンナに問われたことを思い出す。
彼はその質問に対して肯定も否定もできなかった。
椅子に座りながら、足を組み直して考え込んだ。