第9章 閑話シンデレラ…舞踏会編♥♥
その声が心なしか震えていたように感じ、念のためにシンデレラが聞いてみる。
「こういうことをするのは初めて?」
「い、いいえ………そんなことはありません。 けれど、こんな風に自分から男性を招いたことは」
言いづらいのかアンナが口ごもる。
こういう身分の女性がどうやって
『そんなことがなくなった』
のかには興味がある。
と、シンデレラは唐突に、『暗がりに女性を連れ込まないこと!』という、姉の言いつけを思い出した。
(ム…俺は連れ込まれた方なのだがな。 まあ、なんたってお姫様だ。 大義姉さんもどうにかして許してくれるだろう)
シンデレラは心の中で頷き、純粋にこのシチュエーションを楽しむことにする。
ぎこちないアンナの身体を抱き寄せ、言い含めるように低く声を落とした。
「アンナ。 貴女は魅力的な女性だから、きっとたくさんの男が貴女を欲しいと思ったことだろう。 だが、貴女は誰の手にも落ちてない。 そうだね?」
アンナの身体は細く、シンデレラの片腕に難なく収まっていた。
「……え、ええ、そうですわ」
顔を下げてアンナの頬に唇をつけ、それをこめかみや耳の付け根へと滑らせていった。
アンナはうっとりとした表情で身をゆだねていた。
シンデレラがそれに気付き、耳元にふっと息を吹きかけ、すると彼女が肩をびくっと揺らしささやかな吐息がこぼれる。
それを逃さずシンデレラはアンナの体を倒しながら、その小ぶりな耳を唇でくわえて軽く噛む。
「………っ」
徐々に双方の体温が上がるのが分かる。