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大人のおとぎ話 [ガチパロ]

第9章 閑話シンデレラ…舞踏会編♥♥



自分を取り囲む女性たちとの会話に耳を傾けながら、一方でシンデレラは目を細め、壁際に咲くささやかな花に視線を向ける。

「そうですね」「いいえ私はもう、お腹がいっぱいで」と、声のする方向にいちいち顔を向けては微笑む。 女性を数人の男が囲んでいた。

その女性はおそらくシンデレラと同じぐらいかせいぜい一つ二つ年上とみた。
可憐な容姿をしており、ぬけような空色の瞳がせわしなく動く。

女性は瞳と同じ色をしている清純そうなドレスを身に纏っていた。
胸元が大きく開いたドレスを着た周りの女性からは、幾分か浮いているように見える。
しかしそのドレスは彼女の華奢な体を包み込み、彼女の透明な魅力をことさら引き立てていた。

よく見るとその女性の周りにいるのは派手な外見の若者か、好色そうな中年のようだ。
たまに好青年らしき男が控えめに近寄ってきても彼女はそちらの方へ見向きもしない。

(触れなば落ちんとは、きっとあのような女性をさすのだろう)

「シンデレラ様、どうかされまして?」

「………いや」

自分にはさして関係のないことだと思い、シンデレラがそこから視線を外しかけた。

周りの男が「ごく軽い葡萄酒です」と彼女に向かってグラスを差し出す。
そのあとに彼女がグラスを手に取り損ねて床に落とす光景が、シンデレラの目に飛び込んできた。

「あら! 私、ごめんなさい」

謝り、その女性が咄嗟にしゃがもうとした。

「………?」

「シンデレラ様?」

シンデレラは静かに歩みを進めやがて女性の元に辿り着いた。 彼の耳に「危ないですよ、姫様!」という声が届く。
近付いてきたシンデレラの足音に、しゃがんでいた彼女は驚いたのか肩が怯えたように揺れた。

そんな彼女を見つめ、シンデレラは距離をとって跪いた。



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