第9章 閑話シンデレラ…舞踏会編♥♥
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さておき。
三人は舞踏会のお城へと向かい、会場に足を踏み入れると周囲を見回した。
入り口をくぐってすぐの大きなホールは、まるで別世界にいるかのような雰囲気に包まれていた。
その光景はさながら演劇の舞台のようで、彼らはしばしその美しさに見惚れた。
「まああ」
「わあ…!」
「…ほお」
姉の目は城の豪華な内装や調度品に奪われ
妹は所狭しと並ぶご馳走に釘付けになり
弟は蝶のごとくとりどりに飾られた女たちを愛でていた。
「姉君。 どうやらここでは別行動のようだ」
早々に向けられ始めた自分への視線を肌で感じつつ、シンデレラは唇を舐めた。
「お待ち」
と、蝶の元に歩み寄ろうとするシンデレラの腕を、姉にがっちりとつかまれる。
「シンデレラよ。 分かってるわね? 今宵の貴方は」
「………あくまで紳士的な振る舞いを。 間違っても女性を引っかけて、すぐに暗がりに連れ込まないこと…とはいえどもね。 向こうから来るものは」
シンデレラの言葉をきっぱり遮り、姉は彼に、今晩のため事前にこんこんと言い聞かせていたミッションを復唱させようとする。
「目標は」
「家柄よく金持ちで大人しい娘、出来れば次女………?」
「よろしい」
満足そうに頷いた姉がようやくシンデレラを離した。
彼が頭を掻きながらその場を離れる。
「やれやれ………」
(大義姉さんも優しい人なのだが。 借金を背負っても俺を見捨てずに育ててくれた)
女学校一明晰といわれた将来を捨て、父の死後にショックで弱ってしまった義母や、まだ小さなシンデレラの世話をしてくれたのは主に大義姉である。