第9章 閑話シンデレラ…舞踏会編♥♥
彼女は薄茶色の柔らかそうな長髪を結い上げ、優美な容姿を持つにもかかわらず、「ちょっと狩りに行ってくるわね」と言って、鹿や猪を担ぎ帰るほどの豪傑であった。
(薬屋の娘なら、お母様に、もう少し都合のいい丸薬などが欲しいものだわね)
金勘定をはじめとし、家の采配を司る姉は考えをめぐらす。
シンデレラの瞳は緑と黄身がかった茶色で不思議な色彩をしていた。
一点を見つめる際には妙に鋭く………それは獲物を狙う肉食動物を思わせる。
彼に見入られ、フラフラついていく女は後を絶たない。
彼女たちは勝手に家に押し入り、高価なプレゼントを置き去りにする。
そして彼の身の回りや家の事に世話を焼きたがるのだった。
それを迷惑だ、と言い切るのは貧乏な一家には難しかった。
(うーん。 目が合うだけで女性が釣れるなら、いっそのこと………?)
腕を組んだ姉は、画策した。