第9章 閑話シンデレラ…舞踏会編♥♥
この義弟ときたら。
ろくに働かないどころか、年中こうやってどこぞの女をはべらせ、人目もはばからず遊び倒している毎日なのである。
「それは有難いが………たまには真面目に働かないと」
珍しく殊勝な言葉を弟から聞き、ん? と姉が目をあげた。
湯に浸かっている女も羨望の眼差しで彼を見ている。
「シンデレラ様ったら、なんて勤勉なのでしょう」
(平民が働くのは当たり前のことだけど)
と姉が心の中でツッコむ。
「フフ…三日に一度のトレーニングかな。 でないと、こうやってキミらを存分に可愛がれないから」
(イヤ、毎日働けよ)
姉の呟きを無視し、シンデレラが両腕で彼女たちを抱き寄せると、女が空を仰ぎ甘く喘ぎ声を漏らす。
「あっ………シンデレラ様あ…そこ、は」
「………」
姉は絶句し、二度扉を音を立てて閉じた。
(全くもう。 たしかに、まあ? 少しは彼女たちの気持ちも分からなくもない…けれど。 どうしたものかねえ)
姉がため息をつきながら台所へと向かう。
今年18歳になるシンデレラは稀にみる美形であった。
彼は男性であるにもかかわらず、白く滑らかな肌を持ち、少しくすんだ金色の髪をしていた。
彼の目鼻立ちは完璧な配列で、その美しさは言葉を失わせるほど。
そして彼の桜色のあでやかな唇はまるで花びらのようだった。
彼は女性的な美点を備えたが、それらが一つになった造形は、不思議とどんな男よりも魅力的に感じられた。
その顔が長身でスマートに引き締まった体の上に乗っていることが、さらに魅力を引き立てていた。