第8章 ラプンツェル…少女の物語♥♥
それから程なく。
亡き木こりの家に、突然十歳の一人娘が現れ、近所の人々は大層驚いた。
家族を襲った悲劇から五年も経ち、もうとっくに彼女は死んでいると思われていたからだ。
最初は口数少ないマドカを腫れ物のように扱っていた人々だった。
マドカはラプンツェルがすっかり枯れてしまった後の畑を整え、先祖と両親、それから最愛の人が眠る墓を毎日参った。
マドカが戻り、なぜラプンツェルが急に枯れたのかは彼女には分からない。
周囲は惜しがったが何にしろ、マドカはそれを必要だとは思わなかった。
岩をまるで切り出したような不思議な形の墓石に向かい、マドカは誰にともなく話しかける。
「だって飢えたってなんだって、私は自然の一部なんだから。 きっとあなたもそう思うよね─────」