第8章 ラプンツェル…少女の物語♥♥
「と、いう事らしいよ。 悠久の木に宿る同胞の魂よ。 残念だけれどどうやらここは、僕たちの子を育む場所ではないようだ」
男の妖精が言い、すると結構な勢いで蕾が地面に落ちてきた。
べしゃっと潰れる音がし、垣間見えたのはとても小さな、元は人の形のなにかだった。
「ひっ」声を上げて後ずさりする、マドカを少女の妖精がまじまじと見てきた。
「待って。 この子………?」
「ん………?」
続いて少年の方も興味深そうにマドカの全身くまなく観察する。
「な………なんなの?」
「フ…またずいぶんと小さな芽だね」
やんわりと少年が言い終わらないうちに、元人の形のなにかは空中で強く光った。
種が弾けるかのように閃光が周囲を包む。
「きゃっ………!?」
その中のいくつかがマドカへと向かい、彼女の体にすうっと吸い込まれる。
彼らがマドカの前に並んだ。
「人の子。 その体に宿るのはお前とその男の命。 お前はわれわれの影響を少なからず受けらしいからね。 ほんのお詫びだ」
「私たちの子の、残っていた生命を分けたのよ」
「………」
「いつかお前に、耐えうる強き体と心が備われば」
「可愛い赤ちゃんが生まれるわ」
「………さあ、次の地を探そうか」
「そうね」
地面を蹴った彼らはぴょんと跳び、リスやウサギのような素早さでそこを去っていった。