第8章 ラプンツェル…少女の物語♥♥
年々美しく成長はしていくが、歳の割に落ち着いて身持ちが固く、それでいて懸命に働く彼女に対しての周囲の見方は変わっていった。
マドカが18歳になったあくる日。
誰の者とも知れない子を産んだ、彼女の家には多くの人が祝いに詰めかけた。
「おめでとう、マドカちゃん!!」
近所に一人で住んでいる夫人とマドカは特に仲がよい。
「良かったねえ。 お父さんもお母さんもきっと喜んでるに違いないよ」
「もし困ったことがあれば俺に言うんだよ」
生前の両親と親しかった老夫婦も何かとマドカを助けてくれていた。
森に住まう人が増えていく。
ポツポツと商店が出来、大通りには街灯が灯って物騒な事件も減った。
「あ、ありがとう」
赤ん坊を抱いたマドカはぎこちなく礼を言い、はにかんだ笑顔を彼らに向けた。
母と子は森の一軒家で幸せに暮らした────薄茶色の瞳の、息子の名前はフリンといった。
fin.