第8章 ラプンツェル…少女の物語♥♥
マドカはぬるま湯みたいな愛撫を受け続けていた。
涙声が先細りになっていく。
「………っ」
頬に残った水の跡は舐め取られ、
まぶたには薄い生地を被せるように、
震える唇の端をあやすようにつつく─────マドカの拒絶は躊躇いがちに何度も肌に落とされる口付けに戸惑った。
鎖骨の隙間に舌を沿わせ
指先ですくった髪にさえ丁寧に唇をつける。
こんなことをマドカは誰にもされたことはなかった。
上体を少し浮かせたフリンにはやはり軽薄そうな感じはなく、欲情をたたえた目をしているわけでもない。
彼は時おりマドカを見つめたが、それは彼女を気遣うような表情だった。
秀でた額の下にあるまつ毛が移動して、視界から見えなくなる。
彼は胸の中央にそっと指先を置き、たまに彼女の髪を撫でるのと同じ強さでやんわりと撫でた。
「…ッ……っ…」
そうしてマドカのうなじに手を差し入れ抱きしめてくる。
(これは、なに………?)
指先や足先からじんわりほどけていく。
こうされて、始めて彼の体の大きさに気付いた。
熱くて暖かで心地よい。
自然と早くなっていく自分の鼓動に狼狽えながら、マドカはフリンの腕につかまっていた指にぎゅっと力を込めた。