第8章 ラプンツェル…少女の物語♥♥
フリンにはいつもみたいなヘラヘラした様子はなく、マドカに、もう決して男を呼んでは駄目だと言ったのだ。
来たら追い返すようにと。
なぜ彼が急に命令をしだしたのか、マドカには理解できなかった。
『………寝言を言いに来たんならさっさと帰ってよ』
結局、またいつかのボヤきかと思ったマドカはそんな彼を無視した。
『きみと一緒にね』
『だから、そんな冗談』
マドカの肩に手を置いたフリンが真剣な口調で言う。
『僕は本気だよ。 あんまりマドカちゃんが心配だから。 いいかい? 女性というものは』
『っ知らないよ。 バカフリン!』
『………』
つい、彼の手を払いのけた。
どんな軽口を叩いても何食わぬ顔で図々しく居座るはずのフリンは、神妙な様子でここをあとにした。
再び生理を迎え、マドカは鈍く痛む下腹を庇いながら考えていた。
ザア─────────……
(心配…って、なんでだろう)
その意味は分かっても、物心がついてからの彼女に実際の経験はない。
使い方に自信がない。
そういう『言葉』をいくつも持っている。
大人の会話や大人だけの行為はここに来る男たちが教えてくれる。
どういう時に何をすれば喜ぶとかということも。
けれどもここに来た当初から、フリンは勝手が違ったし、マドカは彼には他の男たちに接するように出来なかった。
『きみと一緒にね』
「………」