第8章 ラプンツェル…少女の物語♥♥
土地のせいだけではないと今なら言える。
ここは緑豊かだが、それでもマドカの両親は殺された。
命令を果たすために、無理矢理でも彼女をここから連れ出すことは出来るだろう。
「ああ…戻りたくないなあ」
五年の期限はすぐそばに迫っていた。
「ずっとマドカちゃんとここにいれればいいのにね………」
呟いたフリンが寝入る間ぎわ。
────あら。 ねえ、このあたりから仲間の気配がするわ
────ラプンツェルは同胞のしるし。 くわえて、この木………僕らみたいなパートナーの妖精の魂がいるようだね
『ここにしましょう』
『長い旅をしてきた甲斐があった』
そんなふうに、外から子供のはしゃぐ声が聴こえた気がした。
悪意のないその声を、フリンはマドカに聞かせてあげたかった。