第8章 ラプンツェル…少女の物語♥♥
不本意ながらフリンに見蕩れていた男がはっと我に返った。
「へ…子供………?」
ポカンとした表情の男があらためてマドカに目を向けた。
床に座り直し、上げた腕で髪を結っている。
しどけなく上衣を羽織っているだけの、彼女のこぼれんばかりの胸の谷間や白い腿にサラサラと黒髪が流れて落ちた。
男がマドカの所に通い始めたのは確かにごく最近だ。
(するってえと。 下手したら自分より背が高いし、こんな妖艶な女が十の子供だと? ………オレの娘よりガキじゃねえか)
困惑した男が頭をバリバリ掻いた。
行為の最中と変わり、マドカが冷たい目でフリンを一瞥した。
「フン、捨てられた子供が他にどうやって生きてけってのさ」
「うーん………せめて初潮迎えてからにしたら。 あまり無理をすると、将来僕の子を産めない体になっちゃうんだよ?」
「………」
「ね、マドカちゃん」首を傾けてヘラヘラしているフリンに、マドカが心から鬱陶しそうな視線を投げた。
彼女の視界の隅に、コソコソとここから逃げていこうとする男の後ろ姿が目に入る。
彼女がふーっ、と長いため息をつく。
「………私はあんたみたいに、お国に食べさせてもらってるんじゃないんだ」
「僕が食べさせてあげるって言ってるのに」
マドカの目の前に進んだフリンが腰を曲げ、座っていた彼女の顎を上に向けた。
彼の長い親指の先が彼女の唇を水平に這う。
紅い唇の内側に潜り込んだ指は動いていた。
少しの間息をするのを忘れたマドカが静かに呼気を逃がす。
指は歯茎を撫でてさらに進み舌に触れる。
それはまるで女の秘部を割り開き、その内を探るかのように。
フリンの目は彼女の口の器官に注がれていた。
「あんな汚い男のモノ口にするんじゃないよ。 わざと僕に見せ付けてたつもり?」
マドカはされるままに彼を見つめていた。
「………何のために?」