第7章 ラプンツェル…妖精の物語♥️
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時が経ち。
ある夫婦が大荷物を乗せた馬車をひいて、森の一軒家へ立ち寄った。
妻の方は大きなお腹をしており、どうやら子供を身ごもっているらしい。
「ハア……ねえ、アンタここなの? 随分とボロい」
「そう言うな。 先祖から代々続いたうちの土地だ。 何でも妖精の護りがあるとかで、ホラ。 家の中はなかなか綺麗なようだよ。 ここなら良い子を産める」
「妖精なんて、もう百年も前に絶滅したはずだよ。 何でも、どこかのならず者が森に火をつけた大火事で」
夫は妻の言葉に頷きつつも不思議に思った。
まだ痩せた木々の間を抜けてきた道中で、この家の周りだけは緑に覆われ鳥が鳴き、いきいきとした森の息吹が感じられた。
「………それからここには、誰も足を踏み入れなくなった。 だが、この家が残ってるんなら、この辺りはマシだったんだろう」