第7章 ラプンツェル…妖精の物語♥️
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久しぶりに人が住まう場所に着き。
美和は昔、自分が住んでいた家に居を構えることに決めていた。
敷地の端には美和が建てた両親の墓がある。
『美和ちゃん』
幼い彼女を拾いあげた人間の若夫婦は、美和をそう呼び、大層彼女を可愛がった。
美和を人間でないと知りつつも、まるで大したことのないような顔をして。
夫婦には本当の子供もいたが、やがて巣立っていった。
いくつもの季節を共に過ごし、美和は、中年になって老いていく彼らを看取ったのだ。
美和にとって、大切な大切な思い出が眠った場所だった。
彼女は毎日墓の前で、ありったけの祈りを込めた。
家を磨き待ち続けた。
自分たちの分まで夫婦の子孫へと繋がるように。
ここに彼らが来てくれますように────