第7章 ラプンツェル…妖精の物語♥️
彼は優秀なリーダーである。
リュートの冷静さや公明正大な性格は美和もよく理解していた。
「マア? 一理ありマス、かね? 実際に子供が出来るかは甚だ疑問デスが」
「試すだけの価値はあるよ。 それで、どうやるの? アレって」
腕を組んだ美和は考え込んだ。
人の世界に数十年いたからといって、その知識は見聞きした程度だ。
「そうデスね………」
記憶力を総動員させつつ、美和は身振り手振りでリュートに説明を試みた。
「………と。 要は、女性器に男性の性器を突っ込んで、精子を出せば良いのデスよ。 ドバッと」
身も蓋もなく美和が締めた。
リュートがショックを受けた表情をしている。
「そ、そんなの動物と同じじゃないか………?」
「ううん。 それがちょっと、動物の交尾とは違うのデス」
美和は偶然みたことのある人間の行為を頭に浮かべた。
それだけではなく、もっと彼らは何というか。 見つめあって色んなことをしていた。
「触ったり撫でたり舐めたり。 少し話をしたり………仲良さげに?」
リュートは不可解そうな表情だった。
「ええっ…と。 僕も子供を撫でたり、仲間が怪我をしたら指を舐めたりするし、こうやってきみと話すし………? そういうこと?」
「………なんか違いマス。 もっとこう、好きとか愛してるとか言うのデス」
「ん、好きだし愛してるよ。 こうかな」
にこっと笑ってそう言われ、その瞬間、チクリと美和の心臓が痛んだ。
(うん? これは何でショ………)
「それで撫でればいいんだね」
なでなで。
向かい側にしゃがんだリュートが頭を撫でてくる。
昼間は明るい空色の、涼しげな彼の瞳から目が離せなかった。