第7章 ラプンツェル…妖精の物語♥️
「僕はパートナーになるんなら」
自分の境遇を思い返していた美和が、リュートの声で我に返る。
「美和がいいかなって思ってたんだけど。 もう少し、先の話だろうけどね」
「………そうデスか」
それに彼女は浮かない声で答えた。
「ところで僕らの群れってさ。 成熟した大人が減ってきたと思わないかい」
「言われてみレバ………?」
彼の問いかけに美和は考えを巡らせた。
そういえばここのところ、誕生の儀式が頻繁に行われている。
たしかに妖精は千歳も越えるほどの長寿である。
しかし一方で、美和の両親のように事故で命を落とすことが増えてきたからだった。
「僕は何も軽々しく発言してるわけじゃないんだよ」
リュートや美和といった若い世代に、群れは急速に代替わりしようとしていた。 そんなことを彼は美和に丁寧に説明した。
………たしかに仲間を案じる彼の気持ちは分かる。
けれども。
美和の納得しない様子にリュートが頭を掻いた。
「うーん。 頑なだなあ。 あ、そしたらさ」
「なんデスカ」
「美和さ。 教えてよ、人間の子供の作り方」
「人の………? そんなのを聞いてどうするんデス」
「試してみたらどうだろう、僕らで。 そうしたら、これ以上、仲間が減る心配をせずに済むかもしれない」
良いことを思いついた、とばかりにリュートが両腕を広げてみせた。
「リュート………ワタシたちは」
突拍子もない発言に、半ば呆れて首を横に降る美和だったが、リュートは構わず話し続けた。
「美和ってば。 感情論じゃ仲間は動かないよ。 人間は僕らから奪ってばかりだ。 僕らに対するメリットをきちんと示せば、きっと仲間も分かってくれるだろう?」