第7章 始まりと終わり
リヴァイは馬に乗ったまま生き残りを探していた。後方部隊以外の人間は全てエルヴィンについて行った筈だが、全員にしては死体の数が明らかに少ない。
そしてエルヴィンやハンジの姿も見ていない。
さらに少し走らせると、蒸気を出して倒れている巨人を見つけた。
姿がまだ多く残っているため、倒れてから時間はあまり経っていないはず…。
リヴァイが目を凝らすと、巨人の陰で大勢の人間が座っているのを見つけた。
リヴァイは慌てて近づく。
しかしその多くは傷つき、息をしているのか不確かな者ばかりだった。
「おい。エルヴィンはどこだ。」
リヴァイが馬から降りて問い出すと、兵士達はみな安心したような表情で笑っていた。
「リヴァイ兵長…。戻って来てくださったのですね。」
「…あぁ。遅くなってすまない。エルヴィンはどこだ。」
「団長なら…「ここだよ。」」
リヴァイは兵士の声を遮った声の方へ向く。
そこには頭に包帯を巻いたハンジに支えられて立つ、エルヴィンの姿があった。
リヴァイはエルヴィンの姿を見て眉間に深く皺を作る。
「てめえ…その腕は…。」
「少しヘマをしてしまった。私は自分の判断の所為でまた多くの人間を殺してしまったよ。その代償としては小さすぎるくらいさ。」
エルヴィンの片腕は、全く膨らみのない袖が力無く風に揺れているだけだった。