第6章 変革
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「…後方部へ応援を送る。我々は大きく旋回し、巨人の大群に接触しないように撤退する。」
エルヴィンは横にいた兵士に目配せをし、撤退の煙弾を打ち上げた。
少し前、後方部。
巨人にも遭遇せず、順調に進む調査に皆ホッとし、和やかな空気だった。
「おいマリー、てめえ気を引き締めとけよ。てめえみたいなやつが1番に死ぬんだ。」
「ちょっとオルオ!黙りなさいよ。あとその似てない兵長の真似はやめて。」
『えっっ。今のオルオさんだったんですか?兵長だと思ってました…。』
マリーの発言に、オルオは目を大きく開け頬を緩め、
「やっぱり心が綺麗で素直な奴にはわかるんだよな。マリー、俺ぁ、お前のことを最初からできるやつだと思っていた。」
ペトラはオルオを蹴り、マリーはキラキラとした目で、
『オルオさんに認めていただけて幸せです!』と笑っていた。