第5章 胎動
「だがその時アルマはフリッツと出会ったんだ。当時フリッツは私の補佐をしていてね。それから2人は付き合い始め、君がお腹に宿った。だから2人は兵団を辞めて…それからは君の方が詳しいだろう。」
『兵長は…どうなったんですか?』
「彼はその頃兵士長になったんだ。だから仕事で忘れようとしていたのか…無我夢中で生きているようだった。アルマが辞めた時は丁度少人数調査に出ていてね。知ってからは吹っ切れたのか…。今と変わらない彼になったよ。」
マリーは顔を上げる。
『兵長は…私を見るとやっぱり辛くなるのでしょうか。好きだった人と他人の子どもなんて…。嫌いでしょうか。』
マリーの目から涙が少しずつ流れだす。
「君は本当によく泣くな…。大丈夫だ。君は一度でもリヴァイからそういう目で見られたことがあるのかい?嫌いだと言われたのか?」
マリーは大きく首を横に振る。
「なら彼を信じなさい。自分を嫌いになるな。君は私の妹とアルマの心を救った人との子どもなんだから。」
エルヴィンはマリーを抱きしめた。
「明日から君が支えればいい。君の心は私が支えよう。」
マリーはエルヴィンの心臓の音を感じていた。