第5章 胎動
「それともう一つ…。」
マリーは部屋を出ようとしていた足を止める。
「リヴァイとアルマのことだ。前に君に聞かれた時は応えられなかったからな。だがもうマリーも1人の大人だ。今でも君が望むのならば応えよう。」
マリーはエルヴィンの方へ向き直り、口を開く。
『ではいくつか教えてください。兵長とお母さんは互いに思い合う仲だったのですか。』
以前お母さんは死んだと伝えたときの兵長はかなり辛そうだった。マリーは幼いながら2人のあいだに仲間以上の関係だとは感じていた。
「君は正直だね。…前にも言ったように、アルマはリヴァイの世話係だった。今ではもうアルマの気持ちはわからないが、リヴァイは随分惹かれていたようだよ。」
「そしてある壁外調査の時。アルマは足を怪我して歩くことが出来なくなった。リヴァイはそれを自分のせいだと思ったようでね、当時は随分荒れていたよ。」
マリーはリヴァイの気持ちを思い下を向く。
「アルマも自分は役立たずになったと相当落ち込んでいてね。日を重ねていくと治るどころか、心が病んでいったんだ。言葉を話さなくなり、部屋からも出てこなくなっていった。」