第1章 終わりと始まり
巨人の後ろを見る。今にも降り出しそうな空模様。
頭が考えることを止めていた。
吐き出された母らしきものは父の横で笑っていた。
『こんな世界狂ってる。』
自身に迫る両親の仇であるその手にマリーは気づいていない。
なんて世界は残酷なんだろうか。あたしにはもう笑ってくれるお父さんも、怒ってくれるお母さんもいないのか。
疲れのせいかショックのせいか。
意識が朦朧としながらもそっと母の指にある指輪を抜き取る。
その際触れた母の手は冷たくて。
何かが擦れるような音が耳につく。
突如倒れる巨人の体。
「ガキ。大丈夫か?」
声が聞こえた気がしたが、少女は意識を失った。