第5章 胎動
それからは、あまり訓練兵だった時と変わらない生活を送っていた。
リヴァイとも廊下ですれ違ったりもしたが、特に話すこともなく目があっただけ。
いつかミカサに兵長は自分のことが好きだなんて言われたこともあったよな気がするが、全て嘘だったような静けさ。そういえば嫉妬がどうとか話したこともあったはずだが…。
今となってはあれは夢だったのではと思ってしまう。
何か起こらないものか。
そう思うのは真実を見ることができていなかったからだろうか。
何もない、平凡な日々。
それを幸せと思うことなく暇と思ってしまった私は馬鹿だった。
そう思いながらマリーが涙を流すのはもう少し後の話。
首からかけられた指輪がキラリと光る