第5章 胎動
発表後、みんなが行く兵団の話で持ちきりの中、
マリーは廊下を走っていた。
力強く扉を開ける。
「そろそろだろうと思っていたよ。」
机に向かっていたエルヴィンの顔が上がる。
「おめでとう、マリー。よく頑張ったね。」
エルヴィンの穏やかな笑顔を見て涙が溢れだす。
『お…おじちゃ〜ん。。』
マリーがエルヴィンに抱きつく
「もう兵団は決めたのかい?団長としては主席である君の力を借りたいところだが、おじとしては憲兵になってほしいな。」
エルヴィンが愛おしいそうにマリーの頭をなでる。
『私はここに来た時から決めていましたから。』
「それは?」
エルヴィンの手が止まる
『もう少しここでお世話になろうと思います。ご迷惑でなければですが。』
「優秀なかわいい姪っ子だからね。歓迎しよう。」
昔と変わらない優しい笑顔にホッとした。
「これは君に返しておこう。チェーンを通してネックレスにしたんだ。昔の気持ちを忘れないようにね。」
差し出されたのはかつて母の物だった指輪。
指輪を自分の手に置かれた時、自分には悲しい過去と、エルヴィンへの恩しか残っていない現実を突きつけられたような気がした。